自治基本条例とは

自治基本条例のめざすもの自治基本条例の広がり自治体の憲法の必要性自治基本条例制定に絡む時代背景自治体運営における自治基本条例の必要性自治基本条例に定める内容自治基本条例が果たす役割日進市の条例づくりの進め方について資料(自治基本条例って何?)

自治基本条例のめざすもの

 日進市では、平成15年の1月から自治基本条例の制定をめざす事業を進めています。条例の制定は平成18年度中をめざしています。これは「何々計画」といった施策のあり方や事業プラン、行動計画といったものではなく、自治体の法律としてのルールを定めるものです。

 自治基本条例とは、まちづくりの基本原理や行政の基本ルールなどを定めた自治体の最高法規です。自治の仕組みや、まちづくりの基本原則を具体的に規定し、条例という形で法的根拠を持たせるものです。都市宣言や市民憲章とは根本的に異なり、基本構想や基本計画とも位置付けが違います。計画行政の前提となる理念とルールを明示するのが、自治基本条例です。

「自治基本条例」制定後の自治体の体制
@総合計画の新たな位置づけ
A条例の理念を実現する制度づくり
B条例推進組織の設置
など、新しい体制づくりに取り組んでいかなければいけません。

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自治基本条例制定の広がり

 「自治体の憲法」と言われるこの自治基本条例の制定をめざす自治体が増えています。2001年4月に全国で初めて施行した北海道ニセコ町に続き、各地でその制定が取組まれ、または制定に至っています。この自治基本条例は、市民をまちづくりの主役に据え、市民参加の仕組みや、市民の権利・責任などを定めるところが特徴ですが、どこの自治体でも定めているというものではなく、「自立した自治体をめざそうとしている自治体」が、この条例の制定によりその姿勢を表しているようです。この先、地方分権が進むにつれてさらに全国に広がっていくものと見通されています。

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「自治体の憲法」の必要性

 「自治体としての憲法」がなぜ必要なのでしょうか。政府公共部門全体と市民の関係はどのように決められているのかというと、それは憲法に書かれています。「国民の国政に対する厳粛な信託」という言葉があります。国民は選挙で選んだ人たちが決定したことには従います、ということです。法律が作られて、その法律に違反をすれば捕まることになります。その代わりに、基本的人権をきちんと守るように法律を作ってくれなければ困ると、相互の社会契約を結んで政府を作りました。国民と政府との契約内容は憲法にすべて書いてあると言ってもよいでしょう。政府が地方自治法を作り、地方自治法をもって政治しているという考え方は、国への信託の分け前という感じの理屈によるものです。
 しかし、それは少し違うのではないか、二重信託論という考え方が正しいのではないかということが、1970年代から言われ始めました。市民は政府に全部信託しているわけではなく、残したものがあり、それを地方政府に信託しているという考え方です。地方政府の行動は地方自治法に書いてありますが、政府に任せたものの一部を地方自治法としてルール化するのだけではなく、市民自身も地方政府(自治体)との間に社会契約を結ぶ(信託)必要があるということです。しかし、この信託という地方政府との社会契約で何と何を契約したかということは、一覧表になっていません。政府への信託は憲法という形で一覧表になっていますが、地方政府の方にはありません。そこで、自治基本条例によってそれを表す必要があるというものです。このことが自治体の憲法と言われる所以です。

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自治基本条例制定に絡む時代背景

 第一に、「都市化社会から都市型社会、または成熟社会」への移行が挙げられます。高度成長を背景に新市街地に対して都市化を進めた時代から、都市を守り育てていく時代に移り変わってきているというのが、近年にみる大きな変化です。都市化に向けた時代は、全国の高度成長を支えるための画一的な対応が求められ、法律という全国画一の基準によって都市づくりが行われてきました。しかし、成熟社会においては、いろいろな生活形態、価値観がある中で多様な要請が出てくるようになりました。画一的なものですと、行政で対応していくことは可能ですが、多様化した要請に応えようと思うと、それはもう行政のみの対応では限界が見えてきました。
 第二に、市民参加やNPO等の市民活動の気運の高まりによって、行政主導による公共の限界が見えてきました。特に例としてあげられるのが、阪神淡路大震災のときに、多くの市民団体や個人の方たちが救援、復興に力を注がれたことです。おそらく行政だけでは対応できない状況であったところを、市民がその公的役割を担った事実は、誰もが否定できないものでしょう。こうした実態の中で、新しい公共として、市民が担っていくエリアがあるということが確認されました。
 第三に、「地方分権化」の流れがあります。地方分権一括法が制定され、制度的にも分権が加速度的に行われています。この主旨は、できるだけ権限を国から地方、自治体へという方向のなかで、地域自体が地域の実情を踏まえた個性あるまちづくりを担っていく、主役になっていくという方向です。地方分権化には2つの方向があり、ひとつは前述の国から地方への分権の流れであり、もうひとつは行政から市民への分権も併せて進めるという流れ、これが地方分権化の重要な要素です。特に、これまでは行政への市民参加ということでしたが、今後は市民自立のまちづくりという局面に変わっていくことになっていくものと言われています。

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自治体運営における自治基本条例の必要性

 第一に、地方分権の進展で、自治体が地方政府として自立するのに伴い、これまで各省庁別の縦割りだった自治体行政を、その自治体の基本理念に基づき、再編成する必要が出てきていることによるものです。各自治体では従来、「縦割り」や「全国画一」で、複雑に変化する実態に迅速には追いつけない各省庁の法令や通達に従って行政を展開してきました。このため、個別の条例も、自治体内部で縦割りにより運営されているのが実情です。しかし、前述したように、多様化する住民ニーズに即応し、地域の政策課題を素早く解決するには、対応しきれないケースが増えてきています。つまり、個別の条例や要綱などを自治基本条例に沿って総合化し、市民主体のまちづくりに向けて統一して運営する必要性が出てきたわけです。
 第二に、現行法に不備がある分野は、条例化で補完できる可能性が高いことからの必要性です。地方自治法などは、国と自治体との関係(団体自治)は詳細に定めていますが、行政と住民との関係(住民自治)については、具体的な規定がほとんどありません。逆に言えば、住民自治の分野、例えば、「情報公開」、「オンブズマン制度」、「住民投票」、「コミニティ」など、近年生まれたり、重要度を増したりして、現行法で対応できないものは、条例を制定して独創的に対処する動きが生まれていることがこのことを説明するものです。

「自治基本条例」制定の背景

行政にとって ■2000年の「地方分権一括法」の施行により、地域のことは地域が責任を持って決めることが求められるようになった。

■いろいろな条例や施策を束ねて、自治体の基本的な考え方・方針を明確にするルール(自治体の憲法)が必要となってきた。

市民にとって ■高度経済成長から成熟社会へと変わり、行政主導の画一的なサービスを受けるだけでは十分でなくなってきた。

■地域の自治活動や、市民活動、NPOなどの活動が大事になってきた。

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自治基本条例に定める内容

 自治体が定める条例には、「委任条例」という国の法律に基づいて自治体がその範囲などを定めるものと、特別な法律に基づかなくて、憲法第94条により自主的に条例を制定する権利を行使して作る「自治条例」というものがあります。自治基本条例は、「自治条例」として定めるものです。従って、自治基本条例として、必ずこの事項を定めなければならないという規程はありません。
 しかし、例えば、「知る権利(情報・会議)」「参加権」「重要事項の自己決定権」「議員・職員の選任・解任権」「条例拒否権」などを規定していることが先行する自治体の条例から窺われます。なお、自治基本条例を学術的に研究している機関では、その構成要素に求められる大きな項目として、@憲法の定める個人の尊厳確保・人権を具体化する権利や義務の説明、Aその実現のために必要となる当該地域の「公共性」の意義と、それを担う主体と責務、B当該主体の地域公共性実現に至る活動原理・活動手続の基本を挙げています。
 これらを具体的に説明すると、まず、憲法の人権を具体化する権利には、例えばニセコ町の条例のようなまちづくりへの参加などの手続的権利や、知る権利、環境権、こどもの権利などの実体的権利が考えられます。このあたりは、その自治体のまちづくりの個性の出るところです。
 次に、「公共性」の意義を明らかにすることとは、憲法やこの条例に定めた人権・権利を保障・確保するため、公共部門が担う範囲と程度・基準を規定するということです。同時に、当該自治体を中心に、「公共性」を担う主体(自治体−議会と執行機関、住民、企業、NPO等)と責務の程度が記され得ると考えます。なお、近年の住民参加の充実とあわせ、参加にふさわしい住民の義務ないし責務が構想されることも考えられます。例えば、ニセコ町の条例では、「コミュニティ」に関する部分が、この主旨に近い観点から規定されています。
そして、公共性実現主体の活動原理・活動手続については、住民自治を基点に、団体自治権の各構成内容別として、自治組織権、自治立法権、自治行政権、自治財政権、国政等参加権を規定していくことが考えられます。

「自治基本条例」の要素

自治基本条例は、その趣旨・目的からもモデルというものがなく、どのような内容を定めるかはそれぞれの自治体の判断に委ねられています。以下に一般的な内容を挙げます。

@まちづくり(市政運営)の方向性、将来像
A市民の権利(生活権、市政への参加権、情報公開請求権等)
B市(首長、議会、職員)の義務・責務
C市民の責務、事業者の責務
D住民参加の手続き・仕組み
E住民投票の仕組み
F市民協働の仕組み、NPOへの支援等
G分野別の施策の方向性
H他の施策・条例との関係(最高規範性)
I改正・見直しの手続き

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自治基本条例が果たす役割

 国法による自治体運営では、とかく全国画一、縦割り、時代遅れになると指摘されています。また、都道府県の自治立法(条例)も、その市町村が自らの行政上の諸課題に対処するために制定したものではないという点において、常に地域に的確にフィットしているということは考えられません。
 自治体は、こうした国法等の弱点や至らない点を、国法等に対する新しい解釈や、新たな条例等を制定することによって、地域住民の福祉の向上に資するよう補っていかなければなりません。
 自治基本条例は、単に各自治体の自治立法の頂点にあるだけでなく、その自治体を規律する縦割りに寸断された国法や都道府県の自治立法をも統合し、地域において憲法に準じてこれを直接的に補完する法規として機能していくものであると考えます。こうした機能をもつ自治基本条例が果たす役割は、地域における「公共信託のかたち」を形成していくものと言えます。

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日進市の条例づくりの進め方について

 「自治基本条例という自治体の条例のトップに位置させる重要なものであるから、スマートに、かつ重みを感じるやり方の方が印象としてはしっくりくるのでは。」という意見があります。ところが、自治基本条例を作った、作っている多くの自治体の悩みは、「どうしても一部の方にしか関心を寄せてもらえない。誰にとっても大切な条例だから多くの市民の関わりを作りたかった。作りたいのに。」というところにあります。それゆえに、スマートじゃなくても、遠回りでも、一見余分なことが多そうでも、多くのみなさんに関わっていただけることを第一としてきました。加えて、「参加型事業への参加者はいつも同じ顔ぶれ」と指摘を受け、参加の形を工夫することも迫られていました。
 この条例づくりの進め方は、はじめに検討組織ありき、という形は避けました。自治基本条例という言葉もあまり使わず、「まちづくりは、みんなでやるもの。身近でやれるもの」と感じていただけることを願い、少々遠回りしても、気の向くときに、気ままに関っていただけるよう、いろいろな参加機会を作って進めてきました。
 座・まちづくり塾「日進一歩」はそのひとつの形です。17回を行いました。「日進らしさ」や「日進流」を見つけていくために、みなさんの色々な関心ごとにつながれるよう、分野や話題の幅を制限せずにやってきました。誰かがやっているまちづくり活動を紹介したり、「こんなことも見てみよう。調べてみよう」と発案があったことを実践してきました。
テーマのあり方は、どちらかというと、「日進のベースや根っこをみつける」ことを意識的に優先してきました。そこからは、地縁を守るためのルールやその歴史、大切にしてきたものや、伝えたいものなどの話を聞かせていただきました。旧来からある地区の方々は、参加型行政にはどちらかというと消極的な傾向が窺えます。それは、地域柄やしがらみがあるかもしれません。また、いわゆる新住民の方々の参加が多いことに、色々な意味で圧倒を感じるのかもしれません。温故知新として「日進らしさ」「日進流」を見つけていくためには欠かせないことだと思い、旧きところに意識的にスポットを当てさせていただきました。
 ところで、「『日進一歩』でやっていることなんか自治基本条例づくりにつながるとは思えない。遊んでいるんじゃないかとか、効率的ではない。」と厳しいお言葉をいただくこともありました。たしかにテーマが唐突、流れも場当たり的と映るのかもしれないかな、と思うところもありました。『日進一歩』で大切にしてきたことは、自分ひとりではなく他人(ひと)と体感をして、そのときに思ったことを語っていただくことです。市民が市民を知る、まちを知る、自慢を見つけたということにつながり、条例を支える「市民がそのまちを愛し、誇りに思う心」の育みに微かながらでもお手伝いできたのかな?と思っています。

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資料(自治基本条例って何?)

資料のファイルは、こちらから。≪WORDファイル 67KB≫